A.T.A.

ACwiki技術部見習い活動(仮)

「アリシアたんを自律制御させてみたい」

第1話 〜活動の動機と進め方〜



■ past ■ upfuture

■ 0.序論

・・・タイトルからして期待<<<<<不安なのですが・・・。

アーマード・コアのほうのACか、
2足歩行以外の方法で歩くロボットに
興味がある方のみご覧下さい。


近年のアーマードコア業界は、ACwikiの拡大繁栄を伴い
元ネタとなるゲームが発売されずとも大きな賑わいを見せています。
その根幹には、ACwiki管理人が強力に推し進める
「創作」分野があると考えます。

最近でも、するめまんじゅう師匠の手書きアニメや、
oom師匠の3D動画など、そのレベルたるや
単なる「フロム脳」に留まりません。
きっとあの人たちは強化人間です。

私も擬人化というカテゴリの絵で創作している人間ですが、
絵も上手くないし万人受けするネタでもありません。

しかし、強化人間な人たちのようにレベルの高い創作がしたい!

ということで、今までにない創作の方向性を検討しました。
ですが、私も人間ですので提供できる技術には限界があります。
そこで私が提供できる技術の強みで何があるのか・・・
そう考えた時に、「機械」と「電気」の複合分野である、
エレクトロニクスが思い浮かびました。

エレクトロニクスをアーマード・コアに適用する・・・
そう、現実世界でアーマード・コアをロボットとして動かしたい。
そういう思いが数年前からありました。
実際に夢にまで出てきています。
(2005年11月3日の夢日記参照)

その思いは、壽屋から発売されたV.I.シリーズ、
「デルタ」のプラモデルを目にして更に強くなりました。


なぜ「デルタ」、つまり4脚が琴線を触れたのか、
その理由は以下によります。

・普通の2脚は目新しさがない
・タンク(履帯、無限軌道)は現実的、実用的すぎる、一般的に遅い
・フロートは技術的レベルが高く、非現実的すぎる、一般的に加速度がない
→必然的に逆間接、多脚に愛が注がれる

少なくとも多脚に関しては、
手動2×2chの8脚や、
手動2×4chの4脚を過去に製作し、
実際に各モーターを動かしながら
そのメリット、デメリットを体感したつもりです。

これをサーボモーターに置き換え、
バッテリーや制御を有線にて供給してやれば
結構簡単にデルタを、いや4脚を動かせるのではないか?

そう考えていた時代が私にもありました。

実際に完成したプラモデルを見てみれば、
間接の自由度を優先していること、
多脚のデメリットである「自重を支える」必要があることで、
スマートな設計が思い浮かびませんでした。
(自由度:膝間接だとモーター1つだが球体間接だと2つ以上必要)
(自重:直立状態でフレームにて自重を支えることが可能かどうか)

さらに、しばらくの間PIC以降の制御マイコンをあまり触れることが少なく、
またサーボの取扱いに慣れなければいけない敷居があり、
しかもサーボでの多脚モデルは市場にありふれていることから、
デルタを歩かせる夢は薄れていきました。


そんなある日、壽屋からV.I.シリーズにて
「アンサング」が発売。
今度は「アリシアたんを歩かせたい・・・!」
そういう思いが次第に強くなりました。

プラモ自体はまだずっと積んであるんですが。
これなら、ただ歩かせるだけなら簡単にできそうです。

・・・が、それだけでは面白くないので、
(それだけでも需要はありそうですが)
逆間接のメリットを活かせる動作をさせよう、と考え、
長期的に技術的課題を解決していくべく、
このような形で「活動」としてスタートさせました。


この活動、仮にACwiki技術部見習い活動と名前をつけさせて頂いて、
見る人も私も挫折を回避するために、
各話毎に以下のような項目に沿って進めたいと思います。

0.序論
1.テーマ選定
2.現状把握と目標設定
3.活動計画
4.要因解析
5.対策検討と実施
6.効果確認
7.標準化及び今後の課題

上記の流れで活動を報告し、
各話で完結できる構成にしようと考えています。

ということで第一話は、活動の方向性についてです。



■ 1.テーマ選定

まず、逆間接のメリットとは何か・・・
ゲームの世界ではMTなどに代表されるように、
主に「雑魚キャラ」に適用されることもあり、
あたかも「安く設計ができる」ような錯覚を覚えがちですが、
私はそうは思いません。
単純に待機状態で自重を支える機構が重量を圧迫するためです。
もちろん待機状態が直立の逆間接や、
「クロムハウンズ」に登場するような逆間接で
待機状態で重量をアクチュエータに与えない姿勢ができれば
この問題は解決可能です。
が、それでは活動の最初っから
「アリシアたんを動かす」ことから逸れてしまいますし、
単純にデメリットを打ち消しただけの話です。

逆間接のメリット・・・逆間接使いの多くはこう言うでしょう。
「ジャンプ力が大きい」と・・・。

その理屈はある程度現実にも適用できます。
ただ、具体的には「ジャンプ力が大きい」わけではなく、
・「待機状態からすぐにジャンプ可能」
・「膝間接部の力で前方へ飛び出せる」
ことにメリットがあります。

待機状態からすぐにジャンプできる、というのは、
アーマード・コアの逆間接脚部が
待機状態で膝を曲げた状態であることに起因します。
詳しい話は追々説明していきますが、
2脚の人体が直立状態からジャンプしようとすれば
必ずしゃがんでからジャンプするわけですが、
その前動作そのものをオミットできるわけです。

膝間接部の力で前方へ飛び出せる、というのは、
膝部分に力を集中できる設計をしたとして、
仮に膝から上、及び足首を固定すれば、
膝下の角度は水平以下垂直未満ですから
膝間接の力は斜め前方上昇方向へ働きます。
もちろんどのような脚部でも前方へ飛び出せるわけですが、
膝間接に力を集中できる、
つまり構造を簡単化できるわけです。
このため、単純なジャンプを目的としたロボットや昆虫は
逆間接を基本とした構造をしています。
7グラムのジャンプロボット
こちらも詳しい話はそのうち説明します。

この2つのメリットを
(というか他にたいしたメリットが考え付かない・・・)
活かしながら自律制御を行いたいと思います。

このため、この活動そのものの最終目標を、
・「逆間接型脚部をもち、単独にて自律歩行が可能」
・「その場でジャンプができる」
・「前方へジャンプができる」
・「形はアリシア(アンサング)に可能な限り近づける」
と設定しました。


第1話では、これら最終目標の達成に向けた
活動のアウトライン設定をテーマとします。

いつもながら長い前フリかと思われますが、
実は活動そのもの全体に対応させた場合の
1〜7の項目のうち、3の活動計画までが
第1話になっているわけです。



■ 2.現状把握と目標設定

先ほども申し上げましたが、
私はしばらくマイコン制御から離れていました。
しかしながら、ジャンプという特殊な動作を含むことと、
単純に私が(また)ジャイロを使いたかったので、
ジャイロやサーボといった制御は必須でしょう。

幸いにも今の世代、ソフトウェアから制御、サーボなどが
簡単に動かせる「なんとかロボットシリーズ」なるものがあります。
今までは2足歩行(笑)って言って手を付けてなかったのですが、
この際プライドは抜きです。

このため、制御関連はこの「なんとか〜」を使用することにして、
そのベース機体の選定及び
目標へ向けたアウトラインを作成することにしました。



■ 3.活動計画

2月7日、思い立ったが吉日でその日のうちにポチ買いします。
また、活動内容についての記述は可能な限り早く行います。
そうでなければモチベーションが低下してしまいますので・・・。



■ 4.要因解析

まず、「なんとか〜」を選定します。
一昔前に流行していた感があって、
様々なメーカから様々なロボットが販売されています。

今回の活動に必要だと考えられる事項として、
・V.I.サイズを想定しているのでなるべく軽量小型タイプ
・まずは脚が動けばいいのでサーボの軸数は10あればOK
・ジャイロなどの外部入出力にも対応できる
・自律、半自律、手動で操作ができる
などが挙げられます。
ソフトウェアのインターフェース等で
汎用性を重視した方が良いかと思われますが、
この分野では初心者なので「これ!」というものも分かりませんでした。

これらの要件に合う「なんとか〜」を調べていったところ、
こちらのロボットに辿り着きました。
Robovie-nano

こちらのロボットは、
上記要件をそれなりに満足しているだけではありません。

膝間接を見てください。
写真
サーボがついていません。

これには感心しました。

おおよそ通常の2脚がジャンプする際には、
膝を曲げた状態から伸ばした状態へ移る瞬間、
膝間接の動作角度は股関節と足首の動作角度の和です。
これは膝間接が股関節、足首のサーボに比べて
2倍の速度が必要なことを意味します。

この問題は、一般的には膝間接に2つサーボを組み込むことによって
解決され、同時に正座などの動作も可能になったでしょう。
MANOI AT01(イメージ)
その手法は間違いではないですが、
サーボが単純に1つ増えてしまい、
目的を達成する手段としてはスマートとは言えません。

ところがこちらのロボット、
膝間接のサーボ自体がオミットされています。
これは、膝間接の横に見えるリンクで、
股関節と足首のサーボから膝間接を動作させていると思われます。
これなら単純なジャンプに必要なサーボは股関節と足首のみです。
ちなみにリンクを用いてモータと動作軸をずらす設計は
産業用ロボットにも多く見られ、上手く使えばとても実用的です。
ABB
NACHI(不二越)

このリンクにも少なからず興味が沸いたため、
このロボットを選定、必要な電源等も同時に購入しました。

ちなみに恥ずかしながら、
今まで「エネループ?ただのニッケル水素じゃん」と思ってました。
エネループは、私の知る時代のニッケル水素より電圧も上がるし、
メモリー効果もほとんどないみたいですね・・・。

バッテリについてはそのうち考えればよいので、
とりあえずエネループで単4ニッケル水素駆動にします。


次に活動のアウトラインについてです。

活動の最終目標のうち、技術的課題であり活動の意義が
・「その場でジャンプができる」
・「前方へジャンプができる」
の2点につきます。

今後活動をする上で、「ジャンプする」という定義を、
「部品のどの部分も地面に接していない状態」、
その評価として「地面から最も近い部位の距離が遠いこと」
で行うことにしました。

幸い私はBMXやトライアル、ボードやブレードで
「ジャンプする」(私はたびたび"飛ぶ"と表現しますが)ことが
大好きなため、このように評価を設定すれば、
ゆくゆくは「飛び上がる」「飛び乗る」「飛び越える」
といった動作ができるようになると鑑みているわけです。

まずは、「ジャンプする」という目的に対して、
どのような手段を用いることができるのか、
最も計算しやすいエネルギの視点から考えてみます。

目的のためにはどのようなエネルギが必要なのか。
それは言うまでもなく、重力に対する「位置エネルギ」でしょう。
「地面から最も近い部位の距離」を遠くするには
さらに空中姿勢が求められますが、
重心位置を決定する最終的な位置エネルギが
あっての話です。
さらにジャンプに限定すれば、その位置エネルギは
機体の運動エネルギから供給されるべきです。
(脚部の、と限定しないのはまた追々説明します)

では、そのエネルギ量はどのように供給されるべきなのか。
エネルギの変換順序と代表素子例を系統的に考えましょう。


詳細は省きますが、だいたいこのような感じでしょうか。
どの組み合わせが最適かはまた考えることにして、
最終目標の「歩く」ことがサーボモータによって実現されるならば、
そのエネルギの1つはサーボになるでしょう。

そのため、まずは選定したロボットにて
サーボの取扱いに慣れる必要があります。

コアレスモータとエンコーダでPWM制御の擬似サーボならば
作ったことがありますが、このロボットの制御系を知らないため、
サーボというよりもロボットのほうにまず慣れる必要がありそうです。

そこで全体のアウトラインは次のように決めました。

・対象のロボット制御に慣れる
・純正のまま、逆方向(逆間接方向)に歩けるようになる
・純正のまま、逆間接らしい歩行ができるようになる
・ジャンプのエネルギ源について決定する
・垂直にジャンプができるようになる
・前方にジャンプができるようになる
・形がアリシアたんになり、最適化される

何話でどこまでできるか、は更新頻度を考えて
あえて設定していません。



■ 5.対策検討と実施

・・・と、このあたりまでの考えは一瞬のひらめきで決定しましたが、
ただこれを文章で書き留め、公表することで
思考をまとめられ、自身のモチベーションを上げられると思い、
このように明文化しました。

また、実際に今回必要なのはロボットの選定のみですので、
これを購入しています。



■ 6.効果確認

このように活動を明文化することによって、
具体的に自分の考えがまとまり、
より具現化への道を辿ってきているような気がします。

が、私の日本語力がないため文章が冗長になりすぎました。
今後は図と式をどんどん取り入れていきましょう。



■ 7.標準化及び今後の課題

活動は以下の順序で記述し、報告することにします。
0.序論
1.テーマ選定
2.現状把握と目標設定
3.活動計画
4.要因解析
5.対策検討と実施
6.効果確認
7.標準化及び今後の課題

活動の最終目標を以下に設定します。
・「逆間接型脚部をもち、単独にて自律歩行が可能」
・「その場でジャンプができる」
・「前方へジャンプができる」
・「形はアリシア(アンサング)に可能な限り近づける」

活動における「ジャンプ」の定義は以下に決定します。
「部品のどの部分も地面に接していない状態」

ジャンプの評価方法は以下に決定します。
「地面から最も近い部位の距離が遠いこと」

活動のアウトラインを以下のように設定します。
・対象のロボット制御に慣れる
・逆方向(逆間接方向)に歩けるようになる
・逆間接らしい歩行ができるようになる
・ジャンプのエネルギ源について決定する
・垂直にジャンプができるようになる
・前方にジャンプができるようになる
・形がアリシアたんになり、最適化される


第2話では、まず選定したロボットに慣れる事から始めます。


また、思いつきの活動名称と方向性について共有化するため、
こちらの文章は一度ACwiki管理人に見てもらうつもりです。

※追記
公開前に一度管理人に見てもらったところ、
「霧積にすべき」
「サーボ単体で弾性制御が可能なものを用いれば着地の衝撃が吸収できるのでは」
といった旨のコメントを頂きました。ありがとうございました。
弾性制御はサーボを使う上で習得したい技術の1つであるため、
これの導入についても今後考えていきたいと思います。



第1話は以上です。
指摘や意見がありましたら、拍手か掲示板などで
一言頂けると幸いです。







■ past ■ upfuture